はじめまして!2ヶ月半ほど前、NUSEEKのメンバーに加えていただきました、わたなべと申します!
まだまだ初めて知ることばかりで、てんやわんやな毎日ですが、みなさまのお力になれるよう日々勉強中です。
どうぞよろしくお願いします!
今回は、デザインに潜む心理学について、ECサイトの視点から整理してみたいと思います。
少し専門的な内容もありますが、UIや導線設計への理解が深まるはずです!
実は私、大学時代に心理学を専攻しており、卒業後もその知見を深めNUSEEKに入社してきました。
今回はその学びを踏まえ、ECやデザインの現場で役立つ考え方をご紹介します!
今回のブログでは
ユーザーに「押してもらう」ための仕掛けをテーマに、
アフォーダンスとシグニファイアという考え方をご紹介します。
目次
どちらのボタンが押したくなる?
早速ですが、こちらのボタン、どちらを押したくなるでしょうか?
① 平らで背景と同化した無地のボタン
② 影がついていて、少し立体的に見えて、ホバーで色が変わるボタン

…たぶん、多くの人が右側の ② を選ぶのではないでしょうか?
実はこの“なんとなく押したくなる”感覚、心理学の理論に裏付けがあるんです。
それがこれからご紹介する、アフォーダンスとシグニファイアです!
カートボタン、検索欄、カテゴリタブ……など、ECサイトを見やすくしてくれるパーツには必ずと言っていいほど潜んでいます。
「なんとなくわかる」「なんとなく使いやすい」って、ちゃんと設計されているんです!
まず、アフォーダンスとは?
アフォーダンスとは、
「環境が動物に提供する情報や価値」のこと。
もう少しわかりやすく言うと、「モノ自身が、モノをどう使えるかヒトに教えてくれること」とも言えます。
モノは様々なアフォーダンスを持っており、ヒトはその中から一つのアフォーダンスを受け取り、行動に移しています。

たとえば…
椅子の場合:
・膝の高さに座面があり
・座れそうな面積と素材でできている
→ これを見た人は、「ここに座れるかも」と思うはずです!
(日常生活で普段意識することはないかと思いますが……)
でも椅子って、座る以外にも…
・カバンを置く
・踏み台にする
など、複数の可能性がありますね!
この「行動の可能性」こそがアフォーダンスです。
ほかにも、
石ころの場合:
・手のひらに収まるサイズで
・丸みを帯びていて
・程よい重さがある
→ そこから「持てそう」「投げられそう」「積み上げられそう」など、
例え用途が決まっていなくても、いくつものアフォーダンスが感じ取れるのです。
アフォーダンスは人によって変わることも
同じ椅子でも…
大人にとっては「座れる椅子」 でも、
子どもにとっては「登れない大きな台」
というふうに、ユーザーの視点によって見え方が変わります。
だからこそ、多くの人に共通して“こう使える”と気づいてもらうための工夫が必要になります。
その役割を担うのが、次に紹介する「シグニファイア」です。
シグニファイアとは?
シグニファイアとは、
「アフォーダンスを強調させる、モノの特徴やサイン」のことです。
たとえば、立体的に盛り上がったボタンを見ると「押せそう!」と感じますね!
この“押せそう”という可能性を後押しする情報がシグニファイアです。

たとえば…
立体的なボタンの場合:
・表面が盛り上がっていて
・陰影がついていて
・他の部分より目立っている
→ それを見た人は自然と「押せそう」と感じるはず!
この「押せそう」と思わせる形状や立体感、陰影などの特徴が、シグニファイア です。
ドアの取っ手の場合:
取っ手がなければ、押すのか引くのかわからずユーザーを迷わせてしまいます。
そこで…
・「スライド」と書かれたシール
・横向き矢印のマーク
・手をかけやすいフチの形状
といった視覚的なサインを与えることで、「ここは横に引いてね」と気づいてもらえるようになります。
これらもすべて、シグニファイアです!
まとめると、アフォーダンスとシグニファイアとは
アフォーダンス:行動の可能性そのもの
シグニファイア:その可能性に気づかせ、行動を後押しするサインという違いがあります!
ECサイトでの活用例
ECサイトにおいては、シグニファイアを意識することで、ユーザーの行動を自然に促す導線設計が可能になります。
【Good】 良いシグニファイアの例:
- ボタンに影や立体感、矢印をつける
- “押せそう”と感じさせることでユーザーの行動を補助
- カテゴリのタブに切り替え感を出す
- タブのような形状にして「ここをクリックすれば切り替えられそう」と感じさせ、スムーズなサイト閲覧へ
- 検索欄にプレースホルダーやアイコンを入れる
- 「ここで検索できますよ」というヒントを視覚で与え、ストレスのない検索行動を後押し
これらは普段当たり前に感じる部分ですが、実は理論に裏付けされたユーザービリティの工夫です!
もちろん、例に挙げた以外にもさまざまな方法で、ユーザーの行動を促すことができます。
このサイトではどんな方法で行動を促しているんだろう?どうやって促したらもっと行動してもらいやすくなるかな?
といった風に、たくさん見て考えるのがユーザビリティへの第一歩ですね!
【Bad】 逆に、シグニファイアが間違っていると……
- バナーが押せそうに見えるのにリンクがない
- 「押せそう」なのに「動かない」ことでストレスを与えてしまう
- ボタンが反応しない、あるいは反応が分かりにくい
- ユーザーを迷わせ、離脱の原因に
つまり、見た目が行動を裏切ってしまうと、
ユーザーに「思ったのと違う」「次に何をすればいいのかわからない」という迷いを与えてしまいます。
ユーザーに気持ちよく使ってもらうために、
「間違った動きを促していないか?」「次のステップがちゃんと伝わっているか?」
という問いは常に意識しておくと安心ですね!
さらに深める①:ユーザー視点に立った設計
影付きボタンは分かりやすい例ですが、
「全てのボタンに影をつければいい!」……というわけではありません。
今のユーザーは、「カートボタンは右上とか端っこにあるはず」「商品写真のすぐそばに購入ボタンがあるはず」など、
“あるべき場所にリンクがある”ことを自然に理解しています。
そのため、見た目のシグニファイアを強調するよりもむしろ、
UIの配置ルールを守って迷わせないこと が大切なんです。
逆に、あえてルールを外したデザインに挑戦する場合は、通常以上に導線への配慮が必要になります。
最終的に大事なのは「ユーザーが迷わずに行動できるか」。
見た目の工夫はそのための手段であり、本質はユーザー視点に立った設計にあります。
さらに深める②:GA4やヒートマップを活用した検証
「じゃあこのデザイン、ちゃんと伝わっているのかな?」
「ユーザーはどこで迷っているんだろう?」
そんなときに頼りになるのが、Googleアナリティクス(GA4)やヒートマップツールです。
ユーザーの動きをデータで可視化することで、理論と実際の行動のギャップを埋める改善ができます。
- ボタンが視覚的に目立つようにしたのに、クリック率が低い
- 実は見られにくい位置にある?
- 押して欲しい箇所がヒートマップ上で無反応
- シグニファイアが足りていない?
など、データをもとに、より効果的にデザインを組み直していくことができます!
NUSEEKなら、見た目と裏付けの両方からご提案できます
こういったデザインの背景を理解した上で、
実際のユーザー行動データに基づいた戦略設計・改善提案まで行えるのが、
私たちNUSEEKの強みです。
- 「なんとなく、おしゃれ」「なんとなく、他社の真似」で作らない
- 使ってもらえる設計を、データ+実績から導き出す
ECサイトの改善に悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください!
より「見てもらえる」「選んでいただける」ECサイトを一緒に目指していきましょう!
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。